【2013年度参加報告】高等教育開発センター企画FD講演会
報告者:高井久美子
帝京学高等教育開発センター企画FD講演会「マ-ストリヒト大学における実践例」が,2013年12月18日(水)に霞が関キャンパスにおいて開催された.講演者はマ-ストリヒト大学の岡本 バ-ス早苗先生である.大学の紹介に続き,そこで行われているPBLの具体例,PBLのプロセスと効果などについての講演があった.
マ-ストリヒト大学はオランダにある1976年に設立された比較的新しい大学で,基本理念は,学生が自らの学習に責任を持つこととして,全学的にPBL型の授業を実施している.新任の教員や新入生は最初にPBLのトレーニングを受け,学生は主に文献等の調査とその報告,ディスカッションによって学習を進める.PBLのプロセスは,問題の提示,プレディスカッション,個別学習,ポストディスカッションの4つからなる.チューター(ラーニングコーチ,教員や上級生)がガイドの役割を担い,一つの科目について12,3人の学生からなるグループが別々の教室で活動する.学生たちは,学習目標を立て文献を読み込んで学習に取り組む. ピアプレッシャーもあって学生たちの学習量の負荷は相当高いとのことであった.教員は,学生の興味をそそるような素材を準備してカリキュラムをデザインする.いわゆる「講義」は補習素材として位置付けられる.
このような学習活動を効果的に進めることが出来る理由として,よいチューターの育成,コースデザイナーとチューターの分業,12,3人という人数による構成などが挙げられる.卒業生に対する社会の評価としては,知識を実際の問題解決に応用することができるとの点で高評価が得られているとのことである.基本理念でもある「学生が自らの学習に責任を持つこと」についての認識を教員学生の双方がしっかり持つことが最も重要であると感じた.