【2013年度参加報告】情報処理学会情報教育シンポジウムSSS2013

報告者:渡辺博芳

 情報教育シンポジウムSSS(Summer Symposium in Sizukuishi)2013が8月18日(日)~20日(火)に休暇村岩手網張温泉(岩手県雫石町網張温泉)で開催された.

 本シンポジウムでは2件の招待講演,26件の口頭発表,9件のデモ・ポスター発表があり,活発なディスカッションがなされた.

 北海道大学の重田先生による招待講演「オープンエディケーションの可能性とMOOCsのインパクト」では,Coursera,Udacity,edX,FutureLearnなどのプロバイダを示して,MOOCの特徴が解説された. MOOCを作る大学は,現段階ではトップユニバーシティで, MOOCを使う大学は,話す教科書として利用し,反転授業を行うことで,学習効果の向上やコスト低減を図っているという状況や,MOOCに反対する大学教員の動きなども紹介された.講演スライドは以下で閲覧することができる.
 http://www.slideshare.net/katshige/20130818shigeta-small

 最優秀論文賞を受賞した静岡大学の松澤先生の講演では,彼らが開発した協調学習での会話をネットワーク分析するツールKBDeXを,生徒が使って協調学習の振り返りを行った実践結果について報告があった.KBDeXを使うと,発言と単語の共起関係をもとに,参加者,発言,単語の視点で可視化が行われる.可視化によって,ディスカッションのプロセスを分析する上で,ヒントが得られる可能性が大きい.KBDeXは以下で公開されている.
 http://www.kbdex.net/

 プレゼンテーション賞を受賞した三重大学の奥村先生の「ネ申エクセル問題」では,紙を指向したエクセルの使い方の問題点が明快に指摘されていた.データとして容易に利用できるように,ファイルを作成することで,無駄な作業がなくなり,人類の生産性が上がることは間違いない.この講演では,情報教育では,紙をコンピュータで再現する方法を学ばせるのではなく,「データ・リテラシー」を身につけさせることが重要であることが指摘されている.本講演の論文とスライドは以下のページの下の方で閲覧することができる.
 http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/publications.html

 他にも興味深い講演が多かった.