【2012年度参加報告】第3回教育ITソリューションEXPO

報告者:渡辺博芳,古川文人,及川芳恵,渡部里美

 5月17日(木),東京ビッグサイトにおいて,リード エグジビション ジャパン株式会社主催による第3回教育ITソリューションEXPOが開催された.550社の出展があった.

 今回は,主に,宇都宮キャンパスの次期講義ビデオ配信システムのための調査を行った.そのために,テクノブロード,フォトロン,アーネット,メディアサイト,デジタル・ナレッジの5社のブースにて,情報収集した.各社さまざまな機能の違いがあるが,大きなポイントとしては,講義ビデオコンテンツの管理を,専用システムで提供するか,汎用のコース管理システムで提供するかの違いがある.前者は視聴記録などをきめ細かく管理できるが費用が比較的高くなり,後者はその逆の性質を持つ.

 そのほか,本イベントで印象に残った情報を以下に示す.

 日本システム技術株式会社は,教職カルテシステムをUNIVERSAL PASSPORTというWebベースの学生支援システム上に構築し提供している.UNIVERSAL PASSPORTは,ポータル機能や授業支援機能などを提供するシステムであり,同社の提供する教務システムとも連携するシステムである.この教職カルテシステムは,北海道教育大学,日本体育大学,日本大学,玉川大学,大阪教育大学,追手門学院大学などで導入されているとのことだった.

 ラインズ株式会社のラインズドリルは,入学前教育やリメディアル教育に活用できる基礎学力定着のための教育ツールである.数学,英語,国語,理科,社会の5教科の基礎・基本が学習できる.まず実力診断テストをうけて学力状態を把握し,不得意分野の解説教材やドリル教材で理解を深めるという構成になっている.教材も図が多く解説が見やすい教材という印象を受けた.PC(WindowsやMac)からだけではなく,iPadなどのタブレット端末や各種スマートフォン(iOSやAndroid)からも閲覧することができる.

 株式会社ノストラムのSMART SPIは,クラウドサービスとして提供されている基礎から学べるSPI2対策教材である.PCだけでなくスマートフォンやタブレット端末からも利用することができる.6000問以上の問題が用意されており,模擬テストや単語帳,解答のコツなども提供されている.また,数学の基礎を学べる教材も用意されている.模擬テストなどの結果や利用状況などは専用の管理画面で確認できる.

 株式会社SCCのPINE ミーティングパートナーは,iPadを使用して資料を共有するシステムである.主に会議などで資料を共有するためのシステムであるが,教育の場面でも活用できそうな印象を受けた.あらかじめサーバーに資料を掲載し,ユーザが個々にサーバーにアクセスして資料を閲覧する.共有した資料は閲覧するだけでなく,書き込むこともできる.また,書き込める人も特定の人ではなく,HOSTという役割を交代することで誰でも書き込める.

 株式会社アイ・フォスターは,映像コンテンツ作成のサービスを提供している.授業で使う教材コンテンツやシンポジウムなどの紹介DVDなどを製作した実績がある.コンテンツの作成はシナリオ作成から,撮影,編集,ナレーションつけ,学外公開に向けての著作権処理代行まですべてを請け負う.テレビ番組のような見やすいコンテンツの作成サービスを低コストで提供している印象を受けた.

 EPSONのELPIUO2は,小型の電子黒板ユニットである.プロジェクターにセットしPCと繋ぐだけで,投射面でマウスの操作,書き込みが可能である.操作には専用の電子ペンを使用する.教室の壁面や既存の黒板などに映像を投射して電子黒板として利用できるため,大掛かりな設備の導入は不要で,手軽に利用できる印象を受けた.

 eラーニング専門セミナーでは,株式会社富士通ラーニングメディア ナレッジ・コー・クリエイティング本部 コンサル部 部長 宮田 奈穂美氏より,「eラーニングだけではもったいない!LMSの新たな活用法を探る~富士通 技術者コミュニティの実現~」という講演があった.講演では,富士通グループの技術者コミュニティで各々のスキルアップをはかるために,学習管理システム(LMS)の機能を使って,最新技術や資格取得などの情報を共有したり,技術者間でディスカッションをしたりしている事例が紹介された.このほか,同社で利用しているLMSには,集合研修の管理機能があり,これを用いてセミナーなどの受付管理をしているとのことだった.