【2009年度参加報告】平成21年度教育改革FD/IT理事長・学長等会議

報告者:渡辺博芳

 2009年8月8日に私立大学情報教育協会主催「平成21年度教育改革FD/IT理事長・学長等会議」が上智大学において開催された. 本会議のテーマは「学士力を担保する大学の教育力を考える」であり,2件の講演の後,全体討議,私立大学情報教育協会からの関連情報の提供があった.参加者名簿によると,106大学・4短期大学の189名が参加,うち学長29名,副理事長,理事13名,副学長,学長補佐33名であった. 本学からは,増井浩昭理工学部長と渡辺博芳准教授が参加した.

 最初の講演では,日本学術会議分野別質保証検討委員会委員長の北原和夫氏から,日本学術会議における分野別質保証の検討状況の報告があった.基本的な考え方として,21世紀に必要となる知性を「協働する知性」と位置付け,分野別の質保証を検討している. 近いうちに,分野別の教育課程編成上の参照基準について(基本的な考え方)という文書が公開される.参照基準は大学が教育プログラムを編成する際のスタートとなるようなもので,実際には個々の大学で独自の質保証が行われるべきという立場である. 現在は,分野をどのように分けるかを検討しているとのことであった.

 2つ目の講演は創価大学教育・学習活動支援センター長の関田一彦氏から 略称CETL(セトル)と呼ばれる同センターの活動について紹介があった. CETLは教員への教育支援と学生への学習支援の両方を行うセンターである.教育支援(FD活動)としては,授業見学会,FDフォーラム(講演会とワークショップから成るプログラム),教育サロンなどを実施している.教育サロンは,教員同士のインフォーマルな情報交換の場で,教育サロンでの話題から様々な学習支援の取組が実現されているそうである.一方,学習支援としては,特にマスマス・キャンペーン,書評講習会という2つの取組の紹介があった.マスマス・キャンペーンは数学の正課外のe-Learning学習で,チームでの参加,成果があがったチームへの図書券の授与など工夫が見られ,興味深かった.

 全体討議では,最初に京都産業大学の佐々木利廣先生から,プロジェクトXを題材とした産学連携教育の事例紹介があった. また,私立大学情報教育協会からは,「産学人材連携ニーズ交流会の実験構想」の説明,私立大学情報教育協会では整理した大学ガバナンスに求められる教育戦略の紹介があり,意見交換が行われた. 大学で取り組まなければならない課題は山積みされている.できるところから,一つひとつクリアしていく必要性を感じた.