【2009年度参加報告】教育システム情報学会研究会「教育・学習支援におけるSNSの利活用」

報告者:渡辺博芳

 教育システム情報学会でSNS(Social Networking Service)をテーマとした研究会が,2009年5月16日(土)に電気通信大学において開催された.22件の一般発表とパネルディスカッションがあり,一般発表は2会場に分かれて並列で実施されたため,全ての発表を聴くことができなかったが,興味深いテーマが多かった. 参加者は約70名を超え,盛況であった.

 全体としては,大学や企業でのSNS活用や協調学習へのSNS活用,あるいは,ある特定の分野,例えば,論文レビュー,就職活動支援のためのパーソナルコネクション支援,研究支援等でのSNS活用のためのモデルや技術に関して研究が進められているようだ.

 SNS活用として,福井県では県内の高等教育機関を結ぶネットワーク「F-レックス」において,SNS,LMS,e-Portfolioを活用する取組が始まったが,この取組は県域レベルの大学連携のあり方において非常に参考になる.

 また,福島高専ではこれまでLMSを中心にeラーニングを進めてきたが,SNSを中心におき,LMS,wiki ,ブログ・動画等のコンテンツ管理システム等を結びつけた形のeラーニング2.0に移行した.教職員も含めてSNSが全学的に非常に活発に利用されているし,「OBは財産」とのSNSやメールを卒業後も使用できる環境を整えているそうである.ここまでの活用が見えてくると,学内SNSの有用性が明確であると感じた.

 他にも,法政大学では,SL(Second Life)をベースとした3D仮想空間の教育利用を進めているが,これは視覚的なインパクトが大きい.技術的には,慶応義塾大学で独自開発したSCORM2004のエンジンをSNSに組み混む研究が非常に興味深かった.最後に行われた,企業におけるSNS活用例を話題提供としたパネルディスカッションも参考になった.