【2010年度参加報告】情報処理学会第1回教育学習支援情報システム研究会

報告者:渡辺博芳

 2010年度から情報処理学会教育学習支援情報システム(CLE,Collaboration and Learning Environment) 研究会が発足した.第1回CLE研究会は,2010年5月 13日(木)~5月14日(金)に放送大学において,「オープンエデュケーションおよび一般」というテーマで開催され,65名の参加があった.

 本研究会では,CLE研究会設立記念セッションとして,MITの飯吉透先生,放送大学副学長の岡部洋一先生をパネリストとして「オープンエデュケーションと生涯学習の将来」というテーマで講演とディスカッションが行われた.飯吉先生からは,オープンエディケーションのトレンドについて,岡部先生からは放送大学の公開大学(Open University)としての性格付けと現状について紹介があった.
オープンエディケーションの構成要素としてオープンテクノロジー,オープンコンテンツ,オープンナレッジがある.オープンコンテンツではOCW(オープンコースウェア)などの活動がある.日本のOCWも23校が参加している.ただし,Bill Gatesは,MITのOCWは出すだけでなく,フィードバックから改善すべきという意味で,Open Courseware Is Good but Needs Improvementと言っており,一方,CMU(カーネギーメロン大学)が行っているOpen Learning Initiativeの方は,ベタ褒めだったというエピソードも紹介された.

 ディスカッションにおいては,教育のオープン化が進むと大学の存在意義がなくなるのではないか,という議論があった.「コンテンツはオープンにするが,学習での躓きを支援するようなサポートの部分で収益をあげることになるのではないか」という発言や「大学の存在意義というより,「学位」の存在意義が問われることになる,米国の大学は出口管理がしっかりしているので「学位」を持っていることがその分野の力の証明になっているため,「学位」を取得する価値があるが,日本の大学はその辺をしっかりしないといけないのでは?」という発言などがあった.

 設立記念セッションについては,以下のURLからUStreamで配信されている.

 一般セッションでは,名古屋大学,京都大学におけるコース管理システムの導入と教務システムとの連携,関西大学のコース管理システムCEASの開発,慶応義塾大学でのオープンコースウェアを活用したeラーニング授業,熊本大学の安価な自動講義撮影システムなどがあった.

 次回,CLE研究会は9月2月(木)~3日(金)に徳島大学において開催される予定である.