【2011年度参加報告】FDのための情報技術講習会
報告者:高井久美子
私立大学情報教育協会(私情協)主催の平成23年度FDのための情報技術講習会は,2012年3月1日(木)から3日(土)にかけて大阪経済大学において開催された. 本講習会は,教員の教育技術力向上を目指し,情報通信技術を用いた教材作成や授業設計に関する技術や知識の習得を目的としている. 講習会の受講者は全体で55名であった.
まず,「情報通信技術を活用した授業のあり方」についての講義と,クリッカー,Web Reflection Paper,電子ポートフォリオシステムといったICTを活用した授業の事例紹介があった. 特に印象深い事項を以下に挙げる.
- 教員からの一方通行でなく,学生の反応を受け取って返す工夫が必要である. その部分がICTの使いどころであろう. 答えについての統計情報に目を向けるだけでなく,その答えに至った理由を学生個々に問いかけることが大切である.
- クリッカーがPCや携帯電話と異なるのは,授業時間中の同一注視による高い教育効果が得られるコミュニケーションツールという点である. すなわち,携帯への入力は視線が下を向き個々の世界に入ってしまうが,クリッカーでは同じスクリーンに注視しながら入力ができる. また,個人識別が容易であることから,応用可能性も広い.
講義の後,学系別の小グループに分かれて実際の授業シナリオを作成し,ピアレビューとそれを踏まえた改良を経たそれぞれのシナリオを発表した. また,各種の教材素材を統合してタイムラインに沿って授業を設計し,準備するツールMicrosoft Producerが紹介された. さらに,高等教育におけるICT活用にむけた「著作権についての理解」についての全体講義があった. この中では,著作権の権利処理に関して,私情協が権利処理を含めた教材を相互に利用できる仕組みを整えていることが強調されていた.