【2012年度参加報告】平成24年度高等教育開発センター主催第1回FDフォーラム
報告者:高井久美子
帝京大学高等教育開発センター主催の平成24年度第1回FDフォーラムは, 2012年7月21日(土)に八王子キャンパス11号館8階 1181教室において開催され,これに参加した.このフォーラムは,高等教育開発センターの活動である「FDに関わる各種啓発活動および情報収集・提供」の一環である.
フォーラムは,土持ゲーリー法一高等教育開発センター長の挨拶に続き,Dr. L. Dee Fink 氏の「能動的学習~学生を学習させるには」"Active Learning: Getting Our Students to Do the Work of Learning"と題した講演があり,その後冲永佳史学長から挨拶があった.Fink氏は,米国においてFD研究・実践の第一人者であり,全米で最大規模のFD関係者の組織の元会長でもある.
講演では,まず高等教育における問題点を挙げ,コース終了とともに忘れてしまう知識ではなく,生涯にわたって使える付加価値すなわち,コース終了後も身につけていられることと,学びの質を変えることが重要と指摘した. そのためには,学びを中心とした「コースデザイン」をすることと,アクティブラーニングを取り入れることが効果的だとして,アクティブラーニングの全体像とケーススタディを示した.中でも,TBL(Team-Based Learning)を取り入れた授業と統制群における学習内容の習得状況と,学生のインタビュービデオから,TBLが効果的であることを示した.TBLは,個人学習のあとにグループ学習を行うものであり,主な特徴は,授業内容を身につけてそれを用いることの両方を授業時間中に行うこと,メンバーを固定して数週間の活動を行うことである.学生達は互いにフィードバックし合うことで,学習の効果を高めることができる.
講演は,Fink氏が参加者全員に挙手を求めて現状を聞いたり,ケーススタディについて改善のアイディアを発言させるなど,インタラクティブな形で進められた.授業改善の方法としては,現状の授業をアクティブラーニングの3つの要素「情報と考えの獲得」「経験」「省察的対話」に整理してとらえ,不足している部分の改善アイディアを検討するといった具体的な視点とプロセスを得ることができた.