【2013年度参加報告】Mediasite User Conference Unleash 2013
報告者:渡辺博芳
Sonic Foundry社の主催で,授業収録システム「メディアサイト」のユーザカンファレンスが4月29日~5月1日に米国ウィスコンシン州マディソンのMonona Terraceで開催された.現地参加者が約260名で,オンライン参加者を含めると,約350名の参加があったそうだ.日本からはメディアサイト社および4大学からの参加があった.
セッションは,キーノートの他,ユーザからの講演,メディアサイト初級向けレクチャー,上級向けレクチャーの3トラックがあった.Scott Walker氏は,キーノートで, 1年でMOOCSの受講者が155,000人となったが,これはMITの150年の卒業生と同じ数であること,教育にかかる費用が増大していること,ITによってビジネスが変革してきたこと, 現状の大学の問題などを指摘し,学生中心の教室に変えていく必要があることを主張していた.
日本からは,岩手大学の江本理恵先生が「From Teaching to Learning: Mediasite as a New Educational Tool」というタイトルで発表を行い,講義型でなく,アクティブ ラーニング型の授業での学生の活動を含めた授業収録が可能になれば,新しい教育ツールとなりえると指摘した.
最後のセッションでは,今年の夏の終わりに出るメディアサイト7についての紹介があった.2系統のビデオを入力できること,ユーザのPCでキャプチャし,サーバでエンコードする 仕組みを提供することなどの特徴がある.
期間中に,ウィスコンシン大学EPCS ( Education Portfolios & Career Services ) を訪問し,教員養成のためのeポートフォリオの取組について話を聴く機会があった. ウィスコンシン州で指定されている教員が身につけるべき能力と授業の対応付けができており,ポートフォリオシステムで,それぞれの学生がそれらの力をどの程度身につけたか管理されている. また,授業ではレポート課題を学生同士で相互レビューし,議論を深める活動が行われており,学生はそれらを元に自分自身のポートフォリオをまとめる. 90%の活動がポートフォリオをまとめる前に行われるそうだ.ポートフォリオは教員募集に応募する際に自己アピールのために使われるようである.ポートフォリオ作成を学ぶための特別のコースがあり ,ポートフォリオリエゾンと呼ばれる学生アシスタントが作成の補助をする仕組みもある.こうした体制は一度にできた訳ではなく,時間をかけて構築してきたとのことで,ポートフォリオシステムも 少しずつ機能拡張してきたことが成功の秘訣のようだ.