【2016年度参加報告】高等教育開発センター国際シンポジウム

報告者:高井久美子

 帝京学高等教育開発センター教育関係共同利用拠点事業「STLHE×Teikyo Collaboration Project 2016」の国際シンポジウムは,2016年9月10日(土)に八王子キャンパスSORATIO SQUARE地下2階小ホールにおいて開催された.「STLHE×Teikyo Collaboration Project 2016」は,カナダのFD組織であるSTLHE(the Society for Teaching and Learning in Higher Education)と帝京大学高等教育開発センターによる,FD活動の国際化とネットワーク化を推進する共同プロジェクトで,ワークショップと国際シンポジウムが行われた.このうち国際シンポジウムに参加した.

 講演者は,東京大学名誉教授の寺崎昌男先生,帝京大学理事長・学長の冲永佳史先生,EDC(the Educational Developers Caucus)ディレクターのDr.Debra Dawson,STLHE副会長のDr.Denise Stockleyの4名であった.寺崎先生の「日本の大学における教授・学習活動-その革新に成功するための提案-」と題したご講演では,日本の大学教育の歴史を振り返った上で,今後の教育改革においては主体的な学習を促す環境と教員間の同僚性の形成が重要であると指摘された.冲永先生の「教育と学習の促進に向けて,帝京大学の挑戦」と題したご講演では,帝京大学の取り組みを紹介した上で,教育の質を高めるためには協働を促進する活動と学術的な視点が必要であることが指摘された.STLHEから招聘された先生方からは,カナダにおけるSoTL(Scholarship of Teaching and Learning)の歴史やFDの重要性,ティーチング・ラーニングの体系的な研究について述べられた.講演に引き続き,寺崎先生,STLHE会長のDr.Robert K.Lapp, STLHE議長のDr.Jeanette McDonaldが登壇して講演に対するコメントが述べられ,高等教育開発センター長の土持ゲーリー法一先生から総括が述べられた.

 学習パラダイムの転換を機に大学教育全体においてSoTLが重視されていることと,教授・学習を学術的な視点から見ることの重要性を再確認する機会となった.