帝京大学ラーニングテクノロジー開発室20周年記念シンポジウム

 ラーニングテクノロジー(LT)開発室20周年記念シンポジウムを,2023年9月12日に帝京大学宇都宮キャンパスで開催しました. 本シンポジウムでは「ICT活用がもたらす教育のアップデート」をテーマとして,招待講演およびパネルディスカッションを行いました. 本シンポジウムは,学内4キャンパスの教職員をはじめ,学外のオンライン視聴を含め計約100人が参加しました.

 最初に理工学部 荒井正之学部長より,開会のご挨拶をいただきました. 次に帝京大学ラーニングテクノロジー開発室 小島一晃室長より趣旨説明がありました. LT開発室設立からのラーニングテクノロジー理念について説明があり,続いて近年の取り組みについて紹介がありました. そして今後の展望として,教育のアップデートをおこなわなければならない時勢になっていることについて問題提起がおこなわれました.

 次に,本学 冲永佳史理事長・学長より「本学の今後のICT活用教育方針」についてお話がありました. 2023年度に公表した本学のICTを活用した教育の推進に関する取り組み方針について,「教育の役割への対応」「新しい学習・教育方法への対応」「学生の多様化に対応」の3つのポイントがあることが説明されました. また,この方針のために推進体制・環境を整えること,そのためにラーニングテクノロジー開発室の役割も重要であることが語られました.

 その後,本シンポジウムメイン企画である招待講演とパネルディスカッションが,以下のとおりおこなわれました.

招待講演

武蔵野大学響学開発センター 鈴木克明 センター長/教授
テーマ:アフターコロナ時代における授業のアップデート

 コロナ後の教育には同期型と非同期型をいかにうまく効果的にブレンドするかということが大事であること,そのブレンドとは対面とオンラインということではなく,リアルタイム型とオンデマンド型のすみわけを明確にしておこなうべきであることが説明されました. 次に「担当科目の棚卸しと改善行動計画ワークブック」のご紹介があり,実際に会場の教員もそのワークブックに沿って自らの授業の見直しをおこないました. 最後に熊本大学教授システム学研究センターで実施している「教育改善スキル習得オンラインプログラム」の紹介があり,「科目デザイン編」「自律学習支援編」の説明がありました. 質疑応答も活発におこなわれました.

パネルディスカッション

テーマ:ICT活用教育の現状と教育の理想の未来
コーディネーター:ラーニングテクノロジー開発室 宮崎誠助教

 まず以下のとおり本学の取り組み等について紹介がありました.

(1)宇都宮キャンパスリベラルアーツセンター 守一介講師
 新入生入学時調査データの分析によると,キャンパスの立地に関わらず半数以上は1時間以上の通学時間があることや,親との同居学生の方が通学時間が長いことが説明されました. また,学生のタイピング速度調査について説明があり,タイピング学習の必要性が語られました.

(2)福岡医療技術学部診療放射線学科 徳森謙二教授
 福岡キャンパスにおいてICT活用教育がどのようにおこなわれているか紹介がありました. コロナ禍で学生へPC所持や自宅ネットワーク整備等の依頼,教員向けLMS講習開催など,ICT活用環境整備にご苦労されたことなどが語られました. またAIの活用など危惧されることなどの問題提起もおこなわれました.

(3)医学部内科学講座 山本貴嗣教授
 板橋キャンパス医学部において,LMSの講義視聴システム利用や予習復習確認テストが実施されていることが紹介されました. 予習テストと期末テストでは正の相関があることや,休学・退学の学生はテスト未実施やLMS未ログインが多いことが説明されました. コンピテンシーに関するアンケート調査では医学英語の達成率が低かったことなどが語られました.

(4)高等教育開発センター 宮原俊之教授
 ICT環境整備では導入コンセプトや目的を明確にすることが重要であることが語られ,八王子キャンパスにおける取り組みついて紹介がありました. TNec(Teikyo Next Education Classroom)も時代とともに変化しており,グループワークに特化した教室ではスクリーンとホワイトボードを同時に使えることなどから教員の評価も高いことが説明されました. 2023年度に新しい教室ができたことや収録スタジオがあることも紹介されたました.

 その後,LMS学習における学習効果,オンデマンド授業の学生のやる気や時間管理に対する工夫,今後の展望などについて活発に議論がおこなわれました.

 最後にラーニングテクノロジー開発室古川文人准教授から,閉会の挨拶がありました.

参加者の人数
帝京大学その他大学合計
会場37(29)名2(2)名39(31)名
オンライン51(51)名16(16)名67(67)名
合計88(80)名18(18)名106(98)名
()内の数字はスタッフを含まない人数です.


シンポジウムコンテンツ
開催案内

ICT活用がもたらす教育のアップデート

 ラーニングテクノロジー開発室は,2023年10月に20周年を迎えます.設立以来,授業改善のためのテクノロジーの普及と利用支援に取り組んできました.
 アクティブラーニングの導入や学習者中心の主体的な学びへの転換が進められる中,2020年にはほぼ全ての大学で授業を教室からオンラインにシフトするという事態が,パンデミックによって引き起こされました.そして現在は,教育DXが推進されています.教育DXにおいてICTの活用はファーストステップであり,その先には教育学習のあり方を変革することが目標として掲げられています.
 予期せぬ緊急事態であったとはいえ,パンデミックにおいて我々は,ICTの支えの上で教育学習の機会を拡張する経験をしました.その我々が次になすべきことは,この経験を資産として,さらに教育学習の拡張を模索することではないでしょうか.
 本シンポジウムでは,ICT活用の観点から教育のアップデートの可能性を考えたいと思います.

ICT活用がもたらす教育のアップデート

○開催概要
  • 日時:2023年9月12日(火) 13:00~17:00(予定) (受付:12:30~)
  • 会場:帝京大学宇都宮キャンパス地域経済学科棟101教室/オンライン(Zoom)※ハイブリッド開催
    帝京大学宇都宮キャンパスへのアクセス
    キャンパスマップ
  • 参加対象:学内外の高等教育機関教職員
  • 主催:ラーニングテクノロジー開発室
○参加申し込み

 下記の参加申込フォームよりお申込みください.
  申込締切:2023年9月6日(水)

 参加申込フォーム:https://forms.gle/uhPSg3K8E3WfZ6JH8

○プログラム(予定)
スケジュール内容
13:00-13:10開会挨拶
 帝京大学理工学部 荒井正之 学部長/教授
13:10-13:20主催者講演 「趣旨説明」
 帝京大学ラーニングテクノロジー開発室 小島一晃 室長/准教授
13:20-13:30学長講演 「本学の今後のICT活用教育方針」
 帝京大学 沖永佳史 理事長・学長
13:30-15:00招待講演 「」
 武蔵野大学響学開発センター 鈴木克明 センター長/教授
15:00-15:15休憩
15:15-16:45パネルディスカッション 「ICT活用教育の現状と教育の理想の未来」
 話題提供者:
 ・帝京大学(板橋)  山本貴嗣 教授
 ・帝京大学(八王子) 宮原俊之 教授
 ・帝京大学(宇都宮) 守 一介 講師
 ・帝京大学(福岡)  徳森謙二 教授
 コーディネータ:
  帝京大学ラーニングテクノロジー開発室 宮崎誠 助教
 コメンテータ:
  武蔵野大学響学開発センター 鈴木克明 教授
16:50-17:00閉会挨拶
開催案内ポスター