2022年度 研究会等報告

第13回教育ITソリューションEXPO

報告者:小島一晃,古川文人,宮崎誠

 2022年5月11日(水)~13日(金)に,東京ビッグサイトにおいてEDIX実行委員会の主催による,第13回教育ITソリューションEXPOが開催された.
 本展示会には,約320社の出展があり,ジンジャーアップ社のxSTAGEという製品が印象に残った.xSTAGEは,国産の商用LRS(LMS等の教育学習システムの操作ログを1箇所に保存するストレージ)であり,xAPIという標準規格により学習ログの蓄積ができる.

情報処理学会第37回教育学習支援情報システム(CLE)研究会

報告者:宮崎誠

 情報処理学会教育学習支援情報システム(CLE)研究会の第37回研究発表会が,電子情報通信学会教育工学研究会(ET研究会)との連催で2022年6月11日(土),12日(日)に名古屋工業大学とオンラインのハイブリット形式で開催された.基調講演1件,一般セッションの発表13件があり,70名程度の参加があった.
 研究会のテーマは「withコロナ時代における教育・学習基盤/一般」であり,オンラインでの授業および学習を支援する教材・システムに関する研究や学習過程のログから学習支援につなげるラーニングアナリティクスに関する研究などの発表が行われた.参加者の関心も高く,質疑応答でも活発な議論が交わされた.

日本IMS協会CASE研究会第4回例会

報告者:宮崎誠

 2022年7月6日(水)に,日本IMS協会のCASE研究会第4回例会がオンラインにて開催され,3件の発表が設けられた.シラバスや授業計画の共有,再利用に関する研究,ディプロマ・ポリシーと授業の学習目標やシラバスとの関連の表現に関する研究,1EdTechのLearning Impact Awards 2022からプラチナ賞に選ばれたCASEの活用事例について報告された.また,1EdTechでは共通にコンピテンシーなどを共有・公開する場としてCASEネットワークがあり,日本でも同様のCASEリポジトリ構築の可能性について議論された.
 本学からも報告者が参加し,以下の発表を行った.

  • CASEのAssociationにおける文脈の設定  宮崎誠

World Conference on Computers in Education (WCCE)2022

報告者:渡辺博芳,小島一晃,古川文人,宮崎誠

 World Conference on Computers in Education (WCCE)2022が,8月20日(土)~8月24日(水)の日程で広島国際会議場(広島県広島市)において開催された.本会議はハイブリッド形式での開催となり,ビデオ会議ツールを用いて遠隔からの参加も可能であった.
 WCCEは4年に1度開催されるが,本会議は2021年度に予定されていたものを,新型コロナウィルス感染症の影響により1年延期しての開催となった.論文発表セッションのほかに,4件の基調講演,4件のワークショップ,3件のパネルセッション,3件のシンポジウム,3件のポスターセッションに加え,2件の特別セッションと2件の開催国セッションが設けられるとともに,3件のプレカンファレンスイベントが開催された.
 本学からは渡辺博芳教授,小島一晃准教授,古川文人准教授,宮崎誠助教が参加し,小島准教授が「General Model for Design of an Integrated Learning Record Store System as Infrastructure in Learning Analytics on a University」の発表を行った.また,ポスターセッションにおいて,宮崎助教が「Rubric Self-Assessment System for Technical Standards」の発表を行った.
 講演では,情報科学教育やSTEAM教育,ICTに基づく教育学習の発展・展望などについての議論がなされた.一般発表でも,教育学習支援のための情報技術開発と評価,新しい教育学習支援システムの考案,オンライン授業の実践や調査・分析,情報科学・技術の教育の設計と評価など,広範なテーマに関する発表があった.

教育システム情報学会 第47回JSiSE全国大会

報告者:古川文人

 2022年8月24日(水)~26日(金)に,教育システム情報学会(JSiSE)第47回全国大会が新潟工科大学とオンラインのハイブリット形式で開催された.本大会では,11件の企画セッション,28件の一般セッションのほか,インタラクティブ発表,研究特別セッションが行われた.

IMS Japan カンファレンス 2022

報告者:宮崎誠

 2022年8月25日(木)~27日(土)に「IMS Japan カンファレンス 2022」がオンラインにて開催された.教育機関からだけでなく,教育情報システムに携わっている企業からも多く参加されていた.開催テーマは「国際技術標準の「社会実装」に向けて 教育DXとデジタルエコシステムの展開」ということで,技術標準の活用事例やDXを扱った講演が多く見られた.会期を通して,5件の招待講演と1EdTech Consortium 最高経営責任者を務めるRob Abel氏による基調講演が企画された.
 部会セッションでは, デジタルバッジ等関連標準国内適用検討部会,Caliper Analytics関連標準国内適用検討部会,LTI国内適用検討部会,OneRoster部会,QTI関連標準国内適用検討部会とCASE研究会から技術動向について紹介された.本学からも,CASE研究会にて以下の発表を行った.

  • CASE技術標準と開発環境  宮崎誠

情報処理学会第38回教育学習支援情報システム(CLE)研究会

報告者:宮崎誠

 情報処理学会教育学習支援情報システム(CLE)研究会の第38回研究発表会が,教育システム情報学会(JSiSE)2022年度第4回研究会との併催で2022年11月4日(金),5日(土)に徳島大学とオンラインのハイブリット形式で開催された.一般セッションの発表32件があり,80名程度の参加があった.
 研究会のテーマは「スキル開発とその支援技術および一般」であり,VRやロボット,カメラ映像による授業および学習を支援する教材・システムに関する研究や学習過程のログから学習支援につなげるラーニングアナリティクスに関する研究などの発表が行われた.参加者の関心も高く,質疑応答でも活発な議論が交わされた.

The 30th International Conference on Computers in Education

報告者:小島一晃

 The 30th International Conference on Computers in Education(ICCE)が,11月28日(月)~12月2日(金)の日程でMalaysiaのKuala Lumpurにおいて開催された.本会議はハイブリッド形式での開催となり,ビデオ会議ツールを用いて遠隔からの参加も可能であった.
 本会議は例年通り「Artificial Intelligence in Education/Intelligent Tutoring System and Adaptive Learning」「Computer-supported Collaborative Learning and Learning Sciences」「Advanced Learning Technologies, Open Educational Content, and Standards」 「Classroom, Ubiquitous and Mobile Technologies Enhanced Learning」「Digital Game and Digital Toy Enhanced Learning and Society」「Technology Enhanced Language Learning」「Practice-driven Research, Teacher Professional Development and Policy of ICT in Education」の7つのサブカンファレンスから構成され,教育におけるICT利用を軸とする広範な領域の発表,議論がなされた.また,各サブカンファレンスのテーマに関連する4件の基調講演と3件の招待講演が設けられるとともに,本会議前のイベントとして1件のチュートリアル,10件のワークショップ,その他Doctoral Student Consortia,Early Career Workshop,Student Wing Workshopが開催された.
 本学から小島一晃准教授,水谷晃三講師が参加し,水谷講師がポスターセッションにおいて「Providing Adaptive User Interfaces in Deviceless Learning Environments」の発表を行った.
 講演では,AI等を始めとするICTによるリッチな教育学習支援の実現などについての議論がなされた.一般発表においても,知的学習支援の実現や教育学習データ分析などについて興味深い発表があった.

情報処理学会第167回コンピュータと教育研究会

報告者:渡辺博芳

 情報処理学会コンピュータと教育(CE)研究会第167回研究発表会が,2022年12月3日(土)と12月4日(日)に福岡工業大学においてオンラインとのハイブリッドで開催された.電子情報通信学会の技術と社会・倫理研究会(SITE)との連催であった.学生セッション6件,一般セッション10件,SITEセッション2件の発表があり,学会倫理綱領に関するシンポジウムも開催された.現地には40名程度の参加があった.
 情報教育に関する多様な発表があり,特に技術社倫理教育の実践例や産学コンソーシアムによるデータサイエンス教育に関する発表が興味深く,参考になった.本研究会において,帝京大学大学院に通信教育課程修士2年生が次の発表を行った.

  • 高等学校「情報Ⅰ」における段階的なPPDACサイクルの指導によるデータサイエンス教育の授業実践例  林宏樹,渡辺博芳

大学ICT推進協議会2022年度年次大会

報告者:渡辺博芳,古川文人,宮崎誠

 大学ICT推進協議会2022年度年次大会が,2022年12月13日(火)~15日(木)に,仙台国際センターとオンラインのハイブリッドにて開催された.本大会では,2件の基調講演,35件の出展者セミナー,20件の企画セッション,15件の一般セッションがあった.
 本学からは,一般セッションにおいて,以下のポスター発表があった.

  • 災害看護研修におけるルーブリック自己評価システムの活用  宮崎 誠,渡辺 博芳,眞坂 美江子,高井 久美子,堀内 美由紀

第12回Maharaオープンフォーラム2023 (MOF2023)

報告者:渡辺博芳,宮崎誠

 2023年1月7日(土)~8日(日)に,第12回Maharaオープンフォーラム2023(MOF2023)が,帝京大学箱根セミナーハウスにおいて開催された.MaharaオープンフォーラムはeポートフォリオシステムであるMaharaに関するフォーラムであるが,今回のテーマは「学習する在り方をモデル化する:モノから関係性へ」で,eポートフォリオ全般,主体的な学びについて活発な議論が行われた.
 初日は,福井県立大学の山川修教授によりテーマと同じ題目の講演が行われ,山川修教授と本学渡辺博芳教授との対談が行われた.二日目は,7名のライトニングトークとグループディスカッションが行われた.ライトニングトークでは,わかりやすさ,エージェンシー,教育に使えるITツール,オートエスノグラフィー,eポートフォリオなど多岐に渡るトピックがあった.
 今回はセミナーハウスにおける合宿形式で開催されたため,夜の部も含めて,有意義な議論が行われた.

情報処理学会第168回コンピュータと教育研究会

報告者:渡辺博芳

 情報処理学会コンピュータと教育(CE)研究会第168回研究発表会が,2023年2月11日(土)と12日(日)に東京大学駒場キャンパスにおいてオンラインとのハイブリッドで開催された.学生セッション10件,一般セッション9件,研究論文セッション3件の発表があり,現地には40名程度の参加があった.
データサイエンス教育に関する研究発表,プログラミング教育に関する研究発表,ラーニングアナリティクスに関する研究,初中等教育における情報教育や教材,支援ツールなど,幅広いテーマの発表があった.特に,ブロック部品を用いたプログラミング試験,表計算ソフトを用いた機械学習教材に関する発表が興味深かった.
 帝京大学からは,学生セッションにおいて,教育学部福島教授のゼミ生が「LEDCubuを用いた空間図形認識教材の開発と実践」というテーマで発表を行った.

第14回 Japan Blackboard User Group 会合

報告者:渡辺博芳,宮崎誠,梶原裕加

 第14回 Japan Blackboard User Group(JBUG)会合が,2023年2月25日(土)にアシストマイクロ株式会社本社(東京都中野区)を現地会場としてオンラインとのハイブリッドで開催された.BlackboardはAnthologyに合併し,社名が変更となった.
 会合では,Anthologyによる開催挨拶の後,Blackboardの新しいインタフェースであるUltraベースナビゲーションへの移行,公開講座などに使えるBlackboardのオプションサービスTDM(Training Development Manager),Anthologyの60を超えるSaaS製品のうち4つのサービスが紹介された.4つのサービスは,Anthology Course Evaluation(アンケート機能),Anthology Portfolio(eポートフォリオ機能),Anthology Milestone(デジタルバッジ機能),Anthology Engage(課外活動の管理機能)である.その後,意見交換を行い,アシストマイクロの閉会の挨拶を持って終了した.
 現地参加者で簡単な懇親会があり,現地に参加した大学の方々と有益な情報交換を行うことができた.

情報処理学会第85回全国大会

報告者:渡辺博芳,宮崎誠

 情報処理学会第85回全国大会が,2023年3月2日(木)~4日(土)に,電気通信大学を現地会場としてオンラインとのハイブリッドで開催された.
 本大会で,ラーニングテクノロジー開発室の渡辺教授,宮崎助教がセッション座長を務めた.また,本学から以下11件の発表があった.

  • 林 宏樹,渡辺博芳(帝京大),高等学校におけるデータサイエンス教育の実践事例 -学校設定科目と情報Iでの実践の比較-
  • 小川拓実,阿久津光範,金 致中,山根 健(帝京大),強化学習の価値関数近似器としてSDNNを用いた格闘ゲームAI
  • 呉  強,荒井正之,浜田宏一(帝京大),マスク着用顔画像の表情認識を目的としたSCN-SAMの提案
  • 宮  昊,浜田宏一,荒井正之(帝京大),音声信号からの身長推定手法の研究
  • 徳田正安,浜田宏一,荒井正之(帝京大),同期型オンライン授業における集中度推定システムの検討
  • 飯島 健,浜田宏一,荒井正之(帝京大),2台のLeap Motion を用いた指文字認識に関する研究
  • 松本拓未,佐々木茂(帝京大),田中誠一(文星芸術大),単眼カメラによる全身トラッキングを用いた3Dアバターの姿勢の同期とUIを包括的に扱う手法に関する研究
  • 桑村 新,眞坂美江子(帝京大),ロコモティブシンドロームの認知度向上による健康増進効果の予測
  • 野田雄希,田村律起,水谷晃三(帝京大),帝京大学 5ZD-05 RGB-Dセンサの深度データを入力とした深層学習による指差しジェスチャの検出方法の検討
  • 田村律起,野田雄希,水谷晃三(帝京大),手の動きに追従するUIにおけるタップジェスチャの認識方法の研究
  • 松井俊樹,藤田昌克(帝京大),コロナ禍におけるパニック買い行動のシミュレーション分析

情報処理学会第39回教育学習支援情報システム(CLE)研究会

報告者:宮崎誠

 情報処理学会教育学習支援情報システム(CLE)研究会の第39回研究発表会が,エビデンス駆動型教育研究協議会との共催で2023年3月10日(金),11日(土)に九州大学とオンラインのハイブリット形式で開催された.基調講演1件,一般セッションの発表20件があり,70名程度の参加があった.
 研究会のテーマは「ハイブリッドラーニングとその支援技術および一般」であり,プログラミングや語学の授業および学習を支援する教材・システムに関する研究や学習過程のログから学習支援につなげるラーニングアナリティクスに関する研究などの発表が行われた.また,エビデンス駆動型教育研究協議会で開催された第2回 教育データ分析コンテストの表彰式があり,受賞者による分析の概要についての発表も行われた.参加者の関心も高く,質疑応答でも活発な議論が交わされた.