2021年度 研究会等報告

日本IMS協会CASE研究会第2回例会(2021.05.31)

報告者:宮崎誠

 日本IMS協会のCASE研究会第2回例会がオンラインにて開催された.
 まず第1部「IMS-CASEへの期待」として初等中等教育における最近の動向やデジタル教科書について2件の発表がされ,第2部では「OpenSALTユーザーチュートリアル」という内容でCASE準拠のコンピテンシーフレームワーク管理ツールOpenSALTによるコンピテンシー等の学習目標や評価基準の登録についてデモンストレーションが行われた.第3部では参加者による意見交換および今後の運営方針などが話し合われた.
 本学からも報告者が参加し,以下の発表を行った.

  • OpenSALTによる学習目標・評価基準リポジトリの構築:宮崎誠

第13回Japan Blackboard User Group会合(2021.06.19)

報告者:渡辺博芳,古川文人,小島一晃,宮崎誠,髙野芳恵,渡部里美,梶原裕加

 第13回 Japan Blackboard User Group(JBUG)会合がオンライン形式で開催された.
会合では,Blackboard社による開催挨拶の後,主催者のアシストマイクロ社が事前にBlackboardユーザ校を対象に実施したアンケート調査の結果が公表され,コロナ禍にともなうオンライン授業実施・LMS利用増の課題に関するユーザ校の現状が共有された.また,LMSのコースデータ保存に関する運用方針であるコースライフサイクルについて,海外の大学の事例が紹介された.
 続いて,本学小島一晃准教授がファシリテータとなってLMSのコースライフサイクルについての情報交換が行われた.LMSの利用増の現状と課題について,本学の状況を参加者と共有するとともに,ストレージ容量の増加とデータ容量に対する技術的対策,ユーザサポートとユーザのICTリテラシーの問題,著作物を利用した教材の管理などについて参加者間で意見交換がなされた.

情報処理学会情報教育シンポジウムSSS2021(2021.8.28-8.29)

報告者:渡辺博芳,宮崎誠

 情報教育シンポジウムSSS2021が2021年8月28日(土)~29日(日)にオンラインで開催された.SSSは情報処理学会コンピュータと教育研究会と教育学習支援情報システム研究会の共同開催による「情報教育」と「教育の情報化」をテーマとしたシンポジウムである.昨年度開催を予定していた福岡工業大学での対面開催を模索していたが,コロナ禍の影響でオンライン開催となった.
 招待講演1件,口頭発表28件,デモポスター発表14件の発表があり,プログラミング教育をはじめとする情報教育,教育学習支援システム,反転授業・ハイフレックス授業実践など幅広いテーマの発表があった.Zoomで発表を行いながら,Slackで質疑応答や意見交換を行う形式で実施され,SSSらしい活発な議論が行われていた.

教育システム情報学会第46回全国大会(2021.9.1-9.3)

報告者:渡辺博芳,古川文人,小島一晃,宮崎誠

 2021年9月1日(水)~3日(金)に,教育システム情報学会(JSiSE)第46回全国大会がオンラインにて開催された.本大会は,会長の柏原昭博先生による基調講演「教育システム情報学再考 ~閉じこもる学びについて考える~」から始まり,公開シンポジウム,企業セッションのほか,10の企画セッションでの35件の発表,一般セッションでの93件の口頭発表,25件のインタラクティブ発表,また学会各支部から推薦された学生がインタラクティブ発表する学生研究特別セッション12件が行われた.
 本学からは渡辺博芳教授が全国大会委員会幹事(奨励賞担当)として運営に携わり,金森克浩教授,山下由美子講師,宮崎誠助教,藤平昌寿研究員が以下の発表を行った.

  • 舩木英岳,丹下裕,福井繁雄,畑亮次,井谷武史,土出隆之,金森克浩:特別支援学校教員を対象としたビジュアルプログラミング教育の実践と教育効果
  • 川越颯亮,山下由美子,小松川浩,山川広人:レポート内の話しことばに着目したグループチェック授業モデルの提案と試行
  • 宮崎誠,渡辺博芳,眞坂美江子,高井久美子:CASE に準拠した自己評価システムの開発
  • 藤平昌寿:オフライン・オンライン哲学対話の実践報告

第1回教授システム学研究センター研究会(2021.9.4)

報告者:宮崎誠

 2021年9月4日(土) に「第1回教授システム学研究センター研究会」が会場の熊本城ホールには参加に制限が設けられつつ,オンラインにて実施された.
 研究会の冒頭説明の後,東京大学の藤本徹先生の特別講演「ゲーミフィケーションとデジタルテクノロジー」が行われ,ゲーミフィケーションの概念や近年のゲーム学習研究を整理しつつ,ゲーミフィケーションの事例,ゲーミフィケーションと学習を繋ぐものとしての学習環境や学習補助ツール,テクノロジー等が紹介された.
 続いて,教授システム学専攻では,2022年度から,ラーニングテクノロジー (LT) の実践的な活用方法を学ぶトラック(LTトラック)が追加された新たなカリキュラムが始まるに際し,LTトラックの内容を体験できるワークショップが行われ,Google Colaboratoryによるサポートベクターマシンでのデータ分析とAmazon Alexaによる音声アシスタントの教育への活用が紹介された.

IMS Japan カンファレンス 2021(2021.9.9-9.11)

報告者:宮崎誠

 2021年9月9日(木)~11日(土)に「IMS Japan カンファレンス 2021」がオンラインにて開催された.教育機関からだけでなく,教育情報システムに携わっている企業からも多く参加されていた.
 会期を通して,4件の招待講演とIMS Global Learning Consortium による IMS Global 特別講演 が企画され,実際にIMS標準技術を体験できるLTI やデジタルバッジのハンズオンセミナーも行われた.
 一般セッションで扱われていたテーマには,LTI やデジタルバッジの他,Caliper や CASE,OneRoster などがあり,内容についても高等教育を対象としているものだけではなく,GIGAスクール構想に関するものなど多岐に渡っていた.一般セッションの中で行われた部会セッションでは, Caliper 部会と CASE 研究から技術動向について紹介され,本学からも,CASE 研究会にて以下の発表を行った.

  • 宮崎誠:CASEにおけるREST APIとその利用

日本IMS協会CASE研究会第3回例会(2021.10.11)

報告者:宮崎誠

 2021年10月11日(月)に,日本IMS協会のCASE研究会第3回例会がオンラインにて開催された.
 まずIMS GLCが毎年度技術標準の活用事例を表彰しているLearning Impact Conference 2021の参加報告が行われた.次にOpenSALTの高等教育・生涯学習分野での適用事例として,数理・データサイエンス・AIのモデルカリキュラムの実装について発表された.また,今後の展開に向けた情報共有としてCASEにおけるコンピテンシー等の関連付けについて解説があり,その活用について議論された.
 本学からも報告者が参加し,以下の発表を行った.

  • 宮崎誠:CASEのAssociationにおける文脈の考察

情報処理学会第161回コンピュータと教育研究会(2021.10.23)

報告者:渡辺博芳

 情報処理学会コンピュータと教育研究会第161回研究発表会が,2021年10月23日(土)に東海大学において開催される予定であったが,オンラインで開催された.学生セッション3件,一般セッション7件,研究論文セッション1件の発表があり,60名程度の参加があった.
 オンラインで活用できる問題の自動作成を含むデジタル教材の作成に関する研究,幼稚園でのプログラミング教育に関する発表,高等学校での情報科やプログラミング教育に関する発表,コロナ禍における小学校へのICT支援や大学での教育実践に関する発表など,最近の教育界の状況に関連する発表が多く,参考になった.

The 29th International Conference on Computers in Education(2021.11.22-11.26)

報告者:渡辺博芳,小島一晃,宮崎誠

 The 29th International Conference on Computers in Education(ICCE)が,2021年11月22日(月)~26日(金)の日程で開催された.新型コロナウィルス感染症の影響により,昨年度に続いて,ビデオ会議ツールを用いた仮想会議形式での開催となった.
 本会議は例年通り「Artificial Intelligence in Education/Intelligent Tutoring System and Adaptive Learning」「Computer-supported Collaborative Learning and Learning Sciences」「Advanced Learning Technologies, Open Educational Content, and Standards」 「Classroom, Ubiquitous and Mobile Technologies Enhanced Learning」「Digital Game and Digital Toy Enhanced Learning and Society」「Technology Enhanced Language Learning」「Practice-driven Research, Teacher Professional Development and Policy of ICT in Education」の7つのサブカンファレンスから構成され,教育におけるICT利用を軸とする広範な領域の発表,議論がなされた.また,各サブカンファレンスのテーマに関連する4件の基調講演と3件の招待講演が設けられるとともに,本会議前のイベントとして1件のチュートリアル,12件のワークショップ,その他Doctoral Student Consortia,Early Career Workshop,Student Wing Workshopが開催された.
 本学からは渡辺博芳教授,小島一晃准教授,宮崎誠助教が参加し,宮崎助教が「Advanced Learning Technologies, Open Educational Content, and Standards」において「Developing a Generic Skill Assessment System Using Rubric and Checklists」の発表を行った.
 講演では,AI,センサー,ARなどの技術を用いた教育学習の分析・支援や教室のデジタル化の展望など,ICTによる教育学習の拡張についての議論がなされた.一般発表においても,ラーニングアナリティクス,ゲーミフィケーションやゲームの教育利用,Computational Thinkingなどについて興味深い発表があった.

情報処理学会第162回コンピュータと教育研究会・第35回教育学習支援情報システム研究会 (SITE/CLE/CE合同研究会)(2021.12.3-12.5)

報告者:渡辺博芳

 情報処理学会のコンピュータと教育(CE)研究会と教育学習支援情報システム(CLE)研究会の共催,および電子情報通信学会倫理(SITE)研究会との連催による研究会が,2021年12月3日(金)~5日(日)にオンラインで開催された.SITE招待講演とパネルディスカッションセッション,CE特別講演の他,SITEセッション2件,CLEセッション7件,CE学生セッション4件,CE一般セッション8件,CE研究論文セッション3件の発表があり,一部パラレルセッションで行われた.
 SITE招待講演セッションではデータサイエンス,人工知能,ELSI教育について話題提供があり,ディスカッションが行われた.CE特別講演では奈良女子大の竹中先生により,高等学校の情報Ⅰの指導に関する講演があった.
 一般発表では,プログラミング教育について,CEセッションではプログラミング言語の環境や扱い,プログラミング理解度に関する発表があり,CLEからはプログラミング過程の分析に関する発表があり,それぞれの研究会の特徴があった.また,CLEではLMSのデータから学生の学習負担を把握しようとする研究,CEではLMSのデータから小テスト・課題の提出日時から学習パターンを分析しようとする研究があり,興味深かった.

大学ICT推進協議会2021年度年次大会(2021.12.15-12.17)

報告者:渡辺博芳, 古川文人, 小島一晃, 宮崎誠, 髙野芳恵

 2021年12月15日(水)~17日(金),幕張メッセ国際会議場(オンラインとのハイブリッド)において大学ICT推進協議会2021年度年次大会が開催された.3日間の会期を通じて,59団体による58ブースの出展があり,2件の基調講演のほか,一般セッション,企画セッション,ポスターセッション,出店者セミナー,ランチョンセミナーが行われた.
 EDUCAUSEのVice PresidentであるSusan Grajek氏による基調講演「Digital Transformation in Higher Education: From Learning to Planning to Doing」では,高等教育におけるDXの意味やインパクト,推進するための指標や目標および計画,戦略的な実施についての道筋について論じられた.また,東北大学情報シナジー機構 特任教授の曽根秀昭氏による基調講演「セキュリティ人材の育成と大学間の連携」では,文部科学省2012年度採択の実践的情報教育協働ネットワーク(enPiT)のセキュリティ分野として進められている人材育成である大学院連携によるSecCapコース,2016年度から学部生対象のBasicSecCapコース,2017年度から社会人リカレント教育のProSecコースについての概要と大学連携による教育プログラム実施の利点と課題が論じられた.
 ラーニングテクノロジー開発室からは,宮崎誠助教が企画セッションのオープンソース技術部会「オープンソースでLMSをより使いやすく ~ユーザによるLMSの機能拡張~」にてパネリストとして参加し,古川文人准教授と宮崎誠助教が一般発表にて以下の発表を行った.

  • 髙野芳恵, 渡部里美, 古川文人, 小島一晃, 宮崎誠, 渡辺博芳:帝京大学におけるLMS継続的運用の課題
  • 宮崎 誠, 渡辺 博芳, 眞坂 美江子, 高井 久美子:ルーブリック相互評価のための情報システム仕様検討

情報処理学会第163回コンピュータと教育研究会(2022.2.5-2.6)

報告者:渡辺博芳

 情報処理学会コンピュータと教育(CE)研究会第163回研究発表会が,2022年2月5日(土)~6日(日)にオンラインで開催された.学生セッション6件,一般セッション10件,研究論文セッション2件の発表があり,60名程度の参加があった.
 学生セッションにおいては教材や教育支援ツールの開発と評価の発表が多く,一般セッションでは初等中等教育と高等教育における情報教育の実践や考え方に関する発表が多い印象で,CE研究会らしい活発な議論があった.本研究会において,帝京大学大学院の社会人学生が次の発表を行った.

  • 林宏樹(姫路西高等学校・帝京大学大学院),渡辺博芳:姫路西高等学校におけるデータサイエンス教育の学習成果の検証~大学共通テスト『情報』の観点から

情報処理学会第84回全国大会(2022.3.3-3.5)

報告者:渡辺博芳,宮崎誠

 情報処理学会第84回全国大会が,2022年3月3日(木)~5日(土)に,愛媛大学城北キャンパスを現地としてオンラインとのハイブリッドで開催された.
 本大会では,本学から以下11件の発表があった.

  • 渡辺博芳,宮崎誠,古川文人,小島一晃,山本貴嗣,宮原俊之,徳森謙二(帝京大),江端弘樹(福井大):大学におけるラーニングアナリティクス基盤構築に関する検討
  • 林宏樹,渡辺博芳(帝京大):高等学校教科横断型データサイエンス教育の実践報告 -情報を核としたカリキュラム開発-
  • 茂木拓樹,佐々木茂,古川文人,渡辺博芳(帝京大):3DCGキャラクターが説明するインタラクティブな事前学習コンテンツの開発
  • 水谷晃三,野田雄希(帝京大):デバイスレスな教育学習環境における適応的なUIの提供方法
  • 野田雄希,CHING JIN WONG,水谷晃三(帝京大):指差しポインティングシステムにおける指先ジェスチャの検出方法の研究
  • CHING JIN WONG,野田雄希,水谷晃三(帝京大):机上の振動を用いた学習者の状況予測による学習支援システムの研究
  • 松本拓未,佐々木茂(帝京大),田中誠一(文星芸術大):一般的な単眼カメラによる表情・骨格の認識とアバターへの反映に関する研究
  • 呉強,浜田宏一,荒井正之(帝京大):マスク着用画像を用いた表情認識に関する研究 -マスク無し顔画像との表情認識性能の比較-
  • 神戸勢大,石野寛人,楊奕偉,ニークアンクー:上出哲広(帝京大),反証的CTLモデル検査の拡張とその応用
  • 小野洋人,眞坂美江子(帝京大):Health Action Process Approachを用いた健康情報提供による身体活動量予測モデルの構築
  • 金子知広(帝京大):下肢手術者を対象とした下肢自動運動管理システムの開発

情報処理学会第164回コンピュータと教育研究会(2022.3.12-3.13)

報告者:渡辺博芳

 情報処理学会コンピュータと教育(CE)研究会第164回研究発表会が,2022年3月12日(土)~13日(日)に千葉工業大学津田沼キャンパスにおいてオンラインとのハイブリッドで開催された.学生セッション19件,一般セッション13件,研究論文セッション1件の発表があり,現地には25名程度の参加があった.オンラインを含めた参加者数100名を超えていた.
 学生セッションの発表が多かったが,質の高い研究発表が多く,興味深かった.一般発表では小学校における取り組みから大学における授業実践,教育支援システム構築の基礎的な技術に関する幅広いテーマの発表があった.本研究会において,帝京大学大学院に内地留学中の小学校教諭が次の発表を行った.

  • 藤原将博(小山市立旭小学校),渡辺博芳:小学校での各教科等におけるプログラミング教育実践に関する調査と授業提案